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【Career-Sophiaレポート11】ワーク・ライフ・バランスへの取り組みが必要な理由

投稿日:2015/11/30

2003年に厚生労働白書で「ワーク・ライフ・バランス」という言葉が使われて以降、様々な取り組みが実施され、 2007年には「ワーク・ライフ・バランス憲章」が政労使三者で合意されました。
「ワーク・ライフ・バランス」は、「ワーク・ライフ・バランス憲章」では仕事と生活の調和と訳されています。
仕事と生活の調和が実現した社会は
「国民一人ひとりがやりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たすとともに、地域生活などにおいても、子育て期、中高年期といった人生の各段階に応じて多様な生き方が選択・実現できる社会」と記しています。

具体的には

(1)就労による経済的自立が可能な社会
経済的自立を必要とする者、とりわけ若者がいきいきと働くことができ、かつ、経済的に自立可能な働き方ができ、
結婚や子育てに関する希望の実現などに向けて、暮らしの経済的基盤が確保できる。

(2)健康で豊かな生活のための時間が確保できる社会
働く人々の健康が保持され、家族・友人などとの充実した時間、自己啓発や地域活動への参加のための時間などを持てる豊かな生活ができる。

(3)多様な働き方・生き方が選択できる社会
性や年齢などにかかわらず、誰もが自らの意欲と能力を持って様々な働き方や生き方に挑戦できる機会が提供されており、子育てや親の介護が必要な時期など個人の置かれた状況に応じて多様で柔軟な働き方が選択でき、しかも公正な処遇が確保されている。
とされています。(「仕事と生活の調和の実現にむけて」内閣府、http://wwwa.cao.go.jp/wlb/towa/definition.html 2015.11.29参照)

 

ワーク・ライフ・バランスで誤解されがちなのは
「仕事もそこそこにして、プライベートを充実させましょうということ」
「資金的に余裕のある大企業が福利厚生の一環としておこなうもの」
「育児をしている女性向けの施策」と考えている方も少なくはないようです。
「うちは中小企業だから、そんな生ぬるいことを言っている余裕はありませんよ」という本音を聞くことも少なくありません。

 

しかし、実はワーク・ライフ・バランスには企業の生き残りもかかっているのです。
実際は労働者だけに向けた政策ではなく、使用者側もワーク・ライフ・バランス施策を実施しなければ
いずれ労働力の確保は難しくなってくるでしょう。

 

現在日本は、少子化とともに高齢化も進んでいます。
高齢者とはWHOの定義で65歳以上を指します(75歳以上は後期高齢者)
総人口に対して、高齢者の占める割合が7%を超えると「高齢化社会」、14%を超えると「高齢社会」、
さらに21%を超えると「超高齢社会」といいます。
日本はすでに、超高齢社会に突入しています。高齢化率は2015年で26%(高齢化率とは総人口に占める65歳以上の割合)です。
つまり、4人に1人が高齢者。2035年には3人に1人が高齢者になると予想されます。

 

このまま少子化が進み、介護離職も多くなると、企業の労働力の不足は免れられません。
さらに昨今、新卒の就活でもワーク・ライフ・バランスに対する企業の取り組みは、
重視される傾向にあります。

 

ワーク・ライフ・バランスの実現は、中小企業においても、
TFP(全要素生産性)をあげる可能性が高いことも示唆されています。
(山本 勲,松浦 寿幸(2011)「ワーク・ライフ・バランス施策は企業の生産性を高めるか?
― 企業パネルデータを用いたワーク・ライフ・バランス施策とTFPの検証」,RIETI)

そして、本当にワーク・ライフ・バランス施策が機能するためには
企業風土を変えていく必要があります。
そのためには、できるだけ早く経営層が旗振り役となって進めていかなければいけないのです。

株式会社キャリ・ソフィア代表 木山美佳(記)

 

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