「上司のヴァルネラビリティ調査2026」部下に弱みを伝えるために上司が求める支援、最多は「伝えてよい内容の判断基準」と「部下を不安にさせない伝え方」(各30.0%)

「弱みの線引き」の実態。直近に部下へ伝えた弱みは、仕事の迷いが3割超(「分からないことがある」36.5%、「判断や方針に迷っている」35.8%)、気持ちの弱みは約1割(「自信を失っている」10.1%)

株式会社キャリ・ソフィア(大阪本社:大阪府吹田市、代表取締役:木山美佳)は、「上司が部下に自分の弱みを見せることに関する調査(上司のヴァルネラビリティ調査2026)」の結果を発表いたします。

「管理職の罰ゲーム化」が指摘され、管理職の負担軽減や支援のあり方が人材マネジメントの課題となっています。また、心理的安全性を高めるために、上司が部下に弱みを見せることの重要性が語られています。本調査では、部下を指導・育成する立場にある上司200名を対象に、何を弱みと感じ、部下に実際に何を伝え、どのように伝え、どのような支援を必要としているかについて明らかにしました。

調査の結果、直近に部下へ伝えた弱みとして挙がったのは「分からないことがある」「判断や方針に迷っている」など業務上のものが中心で、「自信を失っている」「心身の調子がよくない」などを挙げた人は1割程度以下でした。また、弱みを伝えるために必要な支援としては、伝えてよい内容の判断基準と、部下を不安にさせない伝え方が最も多く挙げられました。さらに、職場の内外を問わず、仕事上の本音を十分に話せる相手がいない上司は約3割にのぼりました。

※ヴァルネラビリティ(バルネラビリティ/vulnerability):英語で「傷つきやすさ」「弱さ」を意味する言葉。組織やリーダーシップの分野では、自分の弱みや不確かさを他者に開示することを指して用いられる。本調査では、上司が部下に自分の弱みや迷いを伝えることを扱っている。

上司が伝えた弱みは業務上の迷いが中心、求める支援の最多は「判断基準」と「伝え方」

■主なトピックス

※各トピックスの詳細は「主なトピックス(詳細)」をご確認ください。

【何を求めているか】

  1. 求める支援は「伝えてよい内容の判断基準」と「伝え方」が各30.0%:必要な支援は「伝えてよい内容と、伝えないほうがよい内容の判断基準」「部下を不安にさせない伝え方」が各30.0%で最多。「不利益を受けない職場づくり」は6.0%。

【直近では何を伝えたか】

  • 弱みや迷いを部下に伝える頻度、「よくある」「ときどきある」は51.5%、「あまりない」「まったくない」は40.0%:上司自身が部下に弱みや迷いを伝えたことが「よくある」は11.5%、「ときどきある」は40.0%。「あまりない」(28.0%)と「まったくない」(12.0%)を合わせると40.0%。
  • 直近に伝えた弱みは「分からないことがある」「判断や方針に迷っている」など業務上のものが中心、自分の状態に関わる内容は1割程度以下:直近に伝えた内容は「分からないことがある」36.5%、「判断や方針に迷っている」35.8%が中心。「自信を失っている」は10.1%、「心身の調子がよくない」は8.8%、「家庭や個人的な事情を抱えている」は6.3%にとどまる。
  • 「不安」「自信喪失」は、弱みと感じても伝えたことに挙がりにくい:「不安やプレッシャーを感じていること」を弱みだと感じる上司は29.0%だが、実際に伝えたこととして挙げたのは14.5%。「自信を失っていること」も24.0%に対して10.1%(いずれも参考比較)。

【どう伝え、何をためらっているか】

  • 伝え方の上位は「情報の整理」「責任の明示」「目的の共有」:弱みを伝えた上司の伝え方は「分かっていることと、分かっていないことを整理して伝えた」41.2%が最多。「責任や役割の明示」32.4%、「目的や目標の共有」31.1%が続く。
  • ためらう理由の最多は「部下を不安にさせそう」、「上司は強くあるべき」は8.0%:弱みを見せることをためらう理由は「部下を不安にさせそうだから」19.0%が最多。「上司は部下の前では強くあるべきだと思うから」は8.0%にとどまる。

【上司自身の話せる場】

  • 上司の約3割は、本音を十分に話せる相手がいない:仕事上の本音や不安を安心して話せる相手が「いない」10.5%、「いるが十分には話せていない」18.5%、合わせて29.0%。

【補足:伝えた後の変化】

  • 伝えた後の変化は好転が上位、「評価が下がったと感じた」は4.1%(6人/148人):「部下と協力して仕事を進めやすくなった」28.4%、「部下から率直な意見が出るようになった」27.7%など、上位8項目はすべて好転の変化(弱みを伝えた上司本人の回答)。

■主なトピックス(詳細)

【何を求めているか】

1. 求める支援は「伝えてよい内容の判断基準」と「伝え方」が各30.0%

必要な支援や学び:弱みや迷いを部下へ適切に伝えるために必要なものとして、「部下に伝えてよい内容と、伝えないほうがよい内容の判断基準」「部下を不安にさせない伝え方」(各30.0%)が最多となった。「弱みや迷いを伝えても不利益を受けない職場づくり」は6.0%だった。

【直近では何を伝えたか】

2. 弱みや迷いを部下に伝える頻度、「よくある」「ときどきある」は51.5%、「あまりない」「まったくない」は40.0%

自分の弱みを伝える頻度:上司自身が部下に弱みや迷いを伝えたことが「よくある」のは11.5%、「ときどきある」は40.0%で、合わせて51.5%。「あまりない」(28.0%)と「まったくない」(12.0%)は合わせて40.0%だった。

3. 直近に伝えた弱みは「分からないことがある」「判断や方針に迷っている」など業務上のものが中心、自分の状態に関わる内容は1割程度以下

直近に伝えた内容:最も最近、部下に伝えた弱みや迷いは「分からないことがある」(36.5%)、「判断や方針に迷っている」(35.8%)、「業務に必要な知識や経験が不足している」(29.6%)など、業務上の不確実性に関するものが中心だった。「自信を失っている」(10.1%)、「心身の調子がよくない」(8.8%)、「家庭や個人的な事情を抱えている」(6.3%)、「部下の育成に悩んでいる」(6.3%)は、いずれも1割程度以下にとどまった。

4. 「不安」「自信喪失」は、弱みと感じても伝えたことに挙がりにくい

弱みだと感じる内容との比較:部下に伝えた場合に「弱みを見せることになる」と感じるものと比べると、「不安やプレッシャーを感じている」は29.0%が弱みと感じている一方、実際に伝えたこととして挙げたのは14.5%。「自信を失っている」も24.0%に対して10.1%だった。反対に「分からないことがある」「判断や方針に迷っている」は、実際に伝えた割合の方が高い。

※Q1(n=200)とQ3(n=159)は設問・母数が異なるため、参考比較です。

【どう伝え、何をためらっているか】

5. 伝え方の上位は「情報の整理」「責任の明示」「目的の共有」

伝え方:弱みや迷いを伝えた上司の伝え方は、「分かっていることと、分かっていないことを整理して伝えた」(41.2%)が最多。「自分が引き受ける責任や役割を明確にした」(32.4%)、「達成したい目的や目標を併せて伝えた」(31.1%)が続いた。「自分の不安や負担を伝えることが中心だった」は8.1%にとどまった。

6. ためらう理由の最多は「部下を不安にさせそう」、「上司は強くあるべき」は8.0%

ためらいの理由:弱みを見せることをためらう理由は「部下を不安にさせそうだから」(19.0%)が最多。「自分の責任は自分で果たすべきだと思うから」「もともと自分のことを他人に話さないから」(各14.5%)が続いた。「上司は部下の前では強くあるべきだと思うから」は8.0%だった。

【上司自身の話せる場】

7. 上司の約3割は、本音を十分に話せる相手がいない

安心して話せる相手:仕事上の本音、不安、迷いなどを安心して話せる相手が「いない」上司は10.5%、「いるが十分には話せていない」は18.5%で、合わせて29.0%。

【補足:伝えた後の変化】

8. 伝えた後の変化は好転が上位、「評価が下がったと感じた」は4.1%(6人/148人)

伝えた後の変化:「部下と協力して仕事を進めやすくなった」(28.4%)、「部下から率直な意見が出るようになった」(27.7%)、「部下が助けを求めるようになった」(27.0%)、「部下が自分で考えて行動することが増えた」(24.3%)など、上位8項目はすべて好転の変化だった。否定的な変化は「部下から頼りなく思われたと感じた」(10.1%)が最も多く、「専門性や判断力に対する評価が下がったと感じた」は4.1%(6人/148人)、「部下との関係がぎこちなくなった」は2.7%にとどまった。なお、Q5は弱みを伝えた上司本人に尋ねた設問であり、「評価が下がったと感じた」は部下に尋ねた結果ではありません。

■自由回答から(抜粋・原文のまま、一部中略・誤字は修正)

伝えてよかった

  • 迷っている内容を全て話して協力を求めた。下手に隠し事をしないほうが、素直に受け入れて一緒に考えてくれるから間違いないです。(52歳・男性)
  • ある分野について自分には知識が足りていないことを部下に伝えたところ、部下が参考文献を読み込んで必要な知識を習得してくれた。(61歳・男性)
  • 部下に、自分が苦手なことを伝えたら、部下も自分が苦手なことを話してくれて仲が深まりました。(37歳・女性)

迷い・後悔

  • 過去の失敗談なら、いくらでも部下に話せる。しかし現在進行形の悩みは話しづらい。(中略)正直情けない気持ちと、手を回してくれた部下に感謝したい、複雑な気持ちだった。(55歳・男性)
  • うまくいったことはない/伝えて上層部の耳に入り評価が下がった(48歳・男性)
  • 部下に自分の失敗例を具体的に伝えたことがよくなかった(45歳・男性)

■「弱みの線引き」を支えるために

心理的安全性を高めるために、上司は弱みを見せるべきだと言われています。しかし、弱みを見せるには技術が必要であり、何を伝え、何を伝えないかの境界線も欠かせません。

本調査では、直近に部下へ伝えた弱みとして挙がったのは「分からないことがある」(36.5%)、「判断や方針に迷っている」(35.8%)など仕事に関する迷いが中心で、「自信を失っている」(10.1%)、「心身の調子がよくない」(8.8%)、「家庭や個人的な事情を抱えている」(6.3%)を挙げた人は1割程度以下でした。上司は、この境界線を経験や感覚でつかんでいると考えられます。一方で、上司が求める支援の最多は「伝えてよい内容と、伝えないほうがよい内容の判断基準」「部下を不安にさせない伝え方」(各30.0%)でした。感覚に頼るだけでなく、再現性のある形で学べる機会があれば、より多くの上司が安心して弱みを伝えられるようになります。

また、仕事上の本音を十分に話せる相手がいない上司が約3割いることも課題です。部下に伝えない悩みを一人で抱え込むことは、管理職の負担を重くします。当社は、これがいわゆる「管理職の罰ゲーム化」の一因になり得ると考えています。

かつては、同じ時間に職場にいることや社内行事を通じて、上司が先輩や同僚に自然と相談できる機会がありました。働く時間や場所が多様になり、社内行事も減った現在、そうした機会は自然には生まれにくくなっています。

当社は、上司の「弱みの線引き」を支えるために、次の2つの取り組みを提案します。

  1. 境界線と伝え方を学ぶ教育:部下に伝える弱みと伝えない弱みの判断基準、部下を不安にさせない伝え方を、研修や対話の場を通じて再現性のある形で学ぶ。
  2. 仕組みとしてのメンタリング:教育だけでなく、上司が部下以外に本音を話せる相手を、偶然に任せず組織の仕組みとして用意する。

■代表・木山美佳のコメント

弱みを部下に伝えることは、繊細な判断を伴います。「何を伝え、何を伝えないか、判断が難しい」という声は、当社の研修でもよく伺います。本調査でも、上司が最も求めていたのは、その判断基準と伝え方でした。ヴァルネラビリティ研究で知られるブレネー・ブラウン氏も、境界線のないヴァルネラビリティはヴァルネラビリティではないと述べています。上司が一人で線引きに悩むのではなく、伝え方を学び、必要なときに相談できる支援が大切だと感じています。

木山美佳:人材育成コンサルタント/キャリアコンサルタント。一般社団法人ダイバーシティ人材育成協会 代表理事。延べ5万人以上のキャリア形成を支援。著書に『自分から動く部下が育つ 8つのパワーフレーズ』(同文舘出版)。

●  本調査を引用いただく際は、出所として「株式会社キャリ・ソフィア『上司のヴァルネラビリティ調査2026』」と記載してください。

●  調査結果の詳細(調査レポート全19ページ)については、下記URLをご覧ください。 URL:[URL]

●  構成比の数値は、小数点以下第2位を四捨五入しているため、個々の集計値の合計は必ずしも100%とならない場合があります。

●  Q3はQ2で「よくある」「ときどきある」「あまりない」と回答した159名、Q4・Q5はそのうちQ3で具体的な内容を回答した148名が母数です。Q1(n=200)とQ3(n=159)の比較は、設問・母数が異なるため参考比較です。

●  代表コメント中のブレネー・ブラウン氏の考え方は、Brené Brown『Dare to Lead』(2018年)によります。

■調査概要

調査名上司が部下に自分の弱みを見せることに関する調査(上司のヴァルネラビリティ調査2026)
調査主体株式会社キャリ・ソフィア
調査方法インターネット調査
調査対象部下を指導・育成する立場にある上司(スクリーニング済み)
有効回答数200名(男性150名・女性50名)
調査期間2026年9月15日

■会社概要

会社名株式会社キャリ・ソフィア
代表者代表取締役 木山美佳
所在地〒564-0082 大阪府吹田市片山町3-11-16 ワークスタイルイノベーションオフィス(大阪本社)
拠点東京サテライトオフィス(東京都中央区)、福岡ワーケーションオフィス(福岡県大牟田市)
設立2011年3月
事業内容人材育成・キャリア開発・ダイバーシティ研修、教材開発(キャリアエレメンツカードほか)
Webhttps://www.career-sophia.jp/

■取材のご案内・本件に関するお問い合わせ

本調査に関する、代表取締役・木山美佳へのインタビュー・コメント取材を承ります。「弱みの見せ方」「弱みの線引き」「管理職の罰ゲーム化と上司の支援」「管理職へのメンタリング」「1on1での自己開示」などのテーマで、調査データと現場の支援事例をもとにお話しできます。オンラインでの取材も可能です。ご希望の際は、下記の広報担当までメールにてお問い合わせください。

株式会社キャリ・ソフィア 広報担当:上野

TEL:06-4861-6500  E-mail:press@career-sophia.jp